【歴史が嫌いな人は飛ばしてください】  熊野王国編 その1     (その1)(その2)(完結


 『人々に植林を奨め、造船技術を伝導して貿易を始めた・・・』

 これ、明らかに日本の神話じゃない。日本の神話は「天岩戸」にしろ「八岐大蛇」にしろ「海幸彦
山幸彦」にしろ、どこか子供っぽい話なのが特徴だ。そして個人ベースで話が進む。「ヤマトタケル」に
しても「神武東征」にしても、軍勢であるのに1人で旅してるような書き方だ。神話には「群集」の概念が
無いのだ。これはギリシャ神話も北欧神話もそうで、神話ってのはだいたいそういうモンである。

しかし、例外が中国神話である。

中国の三皇五帝伝説。中国初期の皇帝たちの話だ。
   1番目の皇帝・有巣=「木の上に住めば獣に襲われないよ」と人に教えた
   2番目の皇帝・炊人=「食べ物は火を通すと安全だよ」と  〃
   3番目の皇帝・伏儀=法律を作った
   4番目の皇帝・神農=薬を作った
   5番目の皇帝・軒轅=八卦(占い=裁判)を作った
   6〜8番目・尭/舜/兎=治水工事をして安全な国を作った
   (9番目は夏王朝(時期不明)。その後殷(〜BC1100)、周(BC1100〜BC230)、秦(BC230〜BC210)、
   漢(BC200〜AD180)、三国志時代と普通の歴史に)
最初の3人を三皇、8番目までの5人を五帝と言い、神様と同格になっている。中国の神話では「世界には
群集ありきで、群集の役に立つ人」が神様とか皇帝になる。あと描写が生々しいのも中国神話の特徴だ。

家津御子大神のエピソードは、ドンピシャリで中国ルールに合致する!



神様的な話からすればこういう類似性。それに別の角度から見れば、えらい文化レベルが高いって事も
気になる。その辺見りゃいくらでもある木を植林しようなんて誰が想像するんだろうか?造船はともかく貿易、
流通の概念。貨幣経済が確立してないと普通は考えられない(中国で貨幣が産まれたのは殷王朝期)。
この日本のちゃちい神話の中で、一切出てこない概念ばかりだ。ありえないくらい文化レベルが高すぎる。

これは熊野にあった王国が中国の影響を受けていたと考えるしかないなぁ・・・。